理学療法士が建築家を目指してみた

「理学療法士」兼「介護支援専門員」の30代後半の医療介護福祉従事者が、「建築家」を目指し一念発起。住まいや環境などについて考えたことや、自分自身の考え方などを発信していくブログにしていこうと考えています。医療介護福祉関係の方、建築関係の方問わず、様々な意見を頂ければ幸いです。また、30代後半からの転職を考えている方にも何か参考になることがあればと思います。

転職 と 現実(2・リカレントについて)

 転職をするにあたって、「学び直し」が必要になることがあります。私の場合においても一から建築について学び、建築士の資格を取得するために再び学校へ通うことになるわけですが、このように社会に出た人が職に就きながら、あるいは一度職から離れて再度学び直しを行うことを「リカレント」と呼び、キャリアアップやスキルアップなどを目指す取り組みとして近年注目されているようです。

 

・リカレント と 転職

・結局は「自分次第」

 

 

1.リカレント と 転職

 

 今回転職を希望するにあたって私自身も「リカレント」の対象となるわけで、専門学校の学校説明会に参加しました。学校紹介ののち、個別相談の時間が設けられたわけですが、卒業後今までと全く違う分野での「就職」ということについて一番に言われた言葉は「厳しいものになる」ということでした。

 

 この「厳しい」には色々な意味があります。一つは収入、生活に関することです。30代後半、40代の人であれば前職においてある程度の給与を得られる地位にいることが考えられるため、転職をして新たな職で一からのスタートになるとほぼ間違いなく給与は下がります。経済的に耐えられるだけの環境や戦略も必要になるため(家族を持っていればなおのこと)「厳しい」と言えます。

 

 さらに、「再就職」の就職先を探すこと自体も「厳しい」ものになります。30代後半~40代の人が転職にあたって直面する大きな問題として、この「再就職そのもの」が避けて通ることはできないと思われます。

 

 志を持って新たな分野に挑戦しようと努力しても、その努力が企業側に必ずプラスに評価されるとは限りません。説明会で進路指導の教員の方がおっしゃっていましたが、本当にこのリカレントは『諸刃の剣』であると言えると思います。

 今までにどんな経験をしてどのような技術を持っているか。それは上手く使うことができれば強力な武器になり、他の人にはない自分自身のセールスポイントになりますが、上手く使うことができなければ言わば無用の長物。それを必要と感じない企業からすればただの「思い出話」に過ぎないものと認識されてしまう可能性もあります。また、余計な「色」のついていない若者の方が扱いやすいから、という理由のために他で社会経験のあるリカレント生が敬遠されることも現実としてあるのだと思います。

 

 日本の従来の雇用制度は終身雇用制であり、一度入った会社で定年まで、エスカレーター式に年功序列で…という概念が、令和の時代になった今でも全く無くなったわけではないと思われます。近年の社会情勢の変化に伴い、雇用形態も多種にわたるようになり、働き方そのものが多様になってきてはいますが、やはり日本人の精神の中には「職人魂」「職人気質」という言葉があるように、長期にわたって一つの仕事を極めていく、ということがある種の「美」として礼賛される面が少なからず見受けられます

 特に技術職の場合はその傾向が顕著に現れるかもしれません。一つの職での経験を何時間、何千時間、何万時間と積み重ねることで技術を磨いていく、そのような職の場合は他での経験よりもその職に少しでも長く就ける若さを重視することがあるかもしれません。とあるWEBサイトで30代後半から技術職への転職を希望されている方が質問をされており、それに対して現職でその仕事をされていると思われる方が「そんな簡単な物じゃない」「この仕事をなめるな」的な回答をされているのをお見受けしました。確かにそうでしょう。今まで何十年と継続し技術を磨いてきたプライドがあるからこそ、自分の仕事に対しての誇りがあるからこその回答であると思います。そのような技術職の集団の中に、他の分野から転職をして飛び込んでいくということが難しいのは明らかなことです。

 

 そのような背景から考えても、転職を考えるときに前職と同系の職を希望するのと、前職とは全く異なる職を希望するのとでも違うとは思いますが、現時点において私自身の考える「転職の実際」というものは「非常に厳しい」ということが現実的なところなのだと思います。

 

 

2.結局は「自分次第」

 

 そのような中でどのようにして自分自身が生き残っていくか、ということですが、極論を言えば「自分次第」ということになってしまいます。

 

 いざ、『自分の好きなことで生きていきたい』と思い立って転職をしようと行動を始めたとしても、そこに具体的な「戦略」がなければただの負け戦になってしまう可能性は極めて高いと考えられます。

 30代後半、家庭を持ってからの大きな転職は、

 「やってみよーぜ! うえーい!」

というノリと勢いではどうにもならないものがあるので慎重にならざるを得ません。

 

 その点において私が転職を決める際に考えたことは、

 

Ⅰ.5年後、10年後、20年後といった期間ごとの見通しとそれを達成するための目標。

Ⅱ.自分の目指すところに「世間からの需要や「商機」はあるか。

Ⅲ.「自分自身」の販売戦略

 

についてです。この件に関してはまた別の記事で詳細を書きたいと思います。

 

 ただやりたいことをやろうという新しい分野、環境に対する憧れや、現状に対する不満…転職を考えるきっかけは人それぞれだと思います。いずれにしても転職によって新たな場所での成功を目指していくのであれば、ある程度の見通しと長期的な目標を立て、それに対する短期的な目標を立てたうえでそれを成し得るかどうか、ということを考えることは必要なのではないかと考えます。

 

 転職をした後にどれだけのことができるか、ということが大切なのは自明の理ですが、リカレントに限ったことではなく、転職に向かうための計画や準備をどれだけ行うか、そしてそれによってどのような結果が得られるかは自分次第になると思うのです。