理学療法士が建築家を目指してみた

「理学療法士」兼「介護支援専門員」の30代後半の医療介護福祉従事者が、「建築家」を目指し一念発起。住まいや環境などについて考えたことや、自分自身の考え方などを発信していくブログにしていこうと考えています。医療介護福祉関係の方、建築関係の方問わず、様々な意見を頂ければ幸いです。また、30代後半からの転職を考えている方にも何か参考になることがあればと思います。

人生の「時間」は延ばせるか?

 今年も12月が近づいてきましたが、令和を迎えたこの一年をどのように過ごされたでしょうか。11月、12月のカレンダーを見る頃になると、「もう今年も終わってしまう」「この前正月だった気がするのに」という言葉をよく耳にするようになります。

 人によって感じ方が様々なこの「時間」というものですが、果たして人生における「時間」は延ばすことが可能でしょうか。

 今回は、「時間」について考えてみようと思います。

 

・「刺激」と「時間」

・人生の「時間」を延ばすために。

 

 

1.「刺激」と「時間」

 

 歳を重ねると、時間が早く過ぎるように感じると言われています。一年の経過があっという間に感じてしまうようになるのです。特に、社会人になり仕事を始めるとそのように感じる傾向は強いと思われます。仕事柄、高齢者と関わることが多いのですが、この時期になると決まって多くの方に「もう正月が来るねぇ」と言われるものです。

 

 「歳を重ねると一年が短く感じるようになる」ということには、様々な推測がなされています。

 10歳の少年が過ごした今年1年は人生の1/10ですが、80歳の高齢者が過ごした今年1年は人生の1/80です。それまでに過ごした時間、経験に対しての割合が少ないということは、この一年の記憶が全体の記憶に占める割合が少ないということになります。そのため、一年が短いと感じると言われています。

 また日常生活における「刺激」が年齢を重ねるごとに少なくなってしまうということもあります。社会に出て毎日がルーチンワークのような生活になってしまうと、新たな刺激が入りにくく、いわゆる同じことの繰り返しになってしまうことで時間の経過が早く感じてしまうとも言われています。

 

 このテーマに関しては様々な人々の様々な意見が見られていますが、そもそも「時間」そのものが個人差を持つものでないことは当然のことです。「1日86,400秒」という時間はみな平等に与えられます。ですので、時間に関するどの意見においても共通するのは「人の脳」が時間を早めたり遅くしたりしている、ということになると思われます。

 

 人は絶えず外部環境から刺激を受けて生きています。その刺激は自分にとってプラスの要素を持つ刺激であったりマイナスの要素を持つ刺激であったりと多種多様であり、人は効率良く生存するためにその刺激を取捨選択して感受し、暮らしていると言えます。

 人は成長するに従って、この「取捨選択」の技術を身に付け、自分に必要な刺激を優先的に受けるようにし、不必要な刺激をシャットアウトできるようになっていくのではないかと考えられます。大人になり、社会的な活動が増え、たくさんの情報の中で生きていく上で、余計なストレスを自身に与えずに生存していくための戦略として、刺激を取捨選択することを学習していると思われるのです。

 

 子供の時はこの取捨選択が未熟なために、様々な刺激を何でもかんでも受け入れます。嬉しいことも楽しいことも、悲しいこともつらいことも、様々な刺激を感受し、それを自分自身で思考し、新たな記憶として取り込みます。そして次に同じ刺激があった際に受け入れるのか避けるのかの判断をするように「学んで」いるのだと思います。

 ですので子供のころは「学ぶこと」が多いです。毎日毎日、たくさんの刺激を受ける「学び」の中にいるからです。たくさんのことを経験して、たくさんことを感じて、たくさんのことを考えて。体験したことを通して記憶することが一日一日山のように増えていきます。

 記憶が増える、ということは、頭の中に刻まれる時間が増えるということを意味します。頭の中に刻まれる時間が増えるということは、つまり「時間の経過が長く感じる」ということにつながっていくと考えられるのです。

 

 「時間が長く感じられる」ということは、それだけ多くの刺激を感受し、思考し、学ぶことができているということになります。つまりそれは、自身が「成長している」ということに言い換えることができるのではないでしょうか。

 

 

2.人生の「時間」を延ばすために。

 

 私がこのことについてよく考えるようになったのは、ここ最近の実体験に基づきます。

 

 私は今年の6月に大阪の親友に会いに行き、自分のこれからの生き方について見直すことになりました。その日から、普段の生活や家庭のこと、仕事のことなど、自分の身の回りで起こるあらゆることについて、どうすればいいのか、これからどうなるのかと考える日々が始まりました。いつも、ある意味流れ作業のように過ごしていた日々に変化が訪れたのです。日常生活の中で「考える」という時間が、それまでよりも大きく増えたように思います。

 毎日毎日色々なことを考え、分からないことを調べたりすることを通して、多くのことを「学ぶ」日々を過ごすようになっていました。そうなると、一日一日が非常に長く感じるようになったのです。一週間、一カ月が数カ月くらいに感じるほど、私の中で時間の経過が遅くなったのです。

 そして、自分自身が「成長している」ことを感じるようになったのです。

 

 さらに少し余談になりますが、そのような状態になると、身の回りで起こることに対する感受性が高まるというか、刺激を受けやすくなるというか。取捨選択のフィルターが少なくなり、今まで当たり前のように感じてスルーしていたことに「気付く」ようになったり、些細なことに心が揺れて涙もろくなったりするようになってきました。

 自分が求める様々なことに対して感受性が高まり、自分自身のセンサーが働きやすくなると、不思議なことに、必要としていた物を見つけたり、影響を受ける人と出逢ったりということがチラホラ起こるようになりました。

 そういった経験が、さらに自分の「時間」の経過を遅くするようになってきたと感じさせているように思います。

 

 人間の脳において記憶を司る器官は「海馬」と言われていますが、その海馬に隣接する器官に「扁桃体」という記憶固定などに関わる器官があり、「感情を伴う記憶」を強く記憶するように働くと言われています。

 日々の生活の中で、喜びや悲しみ、怒りや楽しさなど、様々な感情を伴いながら刺激を受け、考え、学ぶことで、その人の中で記憶という形で「時間」は蓄積されていきます。子供の頃にそうだったように、素直な気持ちでいろんなことを体験していくことで、日々の記憶は積み重なっていくのです。

 それはつまり、人は「成長を続ける」ことによって、人生の「時間」を延ばすことができる、ということが言えるのではないでしょうか。

 

 日々の暮らしの中で様々な刺激から「学ぶ」機会があるにもかかわらず、無意識に取捨選択を行うことでその多くをシャットアウトしてしまい、「成長する」ことを忘れてしまってはいませんか?

 人間の脳は、生涯でその機能のほんの数%しか利用しないということが研究で明らかになっています。年齢は関係なく、人はいつでも、いつまでも「成長する」ことはできるのです。そして、「成長する」ことによって、人生をより長く、豊かなものに感じることができるようになるのです。

 

 

 人生の「時間」は延ばせます。

 一度きりの自分の人生、少しでも「長く」楽しむために、成長していきましょう。