製図に関するこの8ヶ月の成長について
2020年4月から建築の学校への通学を開始して8ヶ月。コロナの影響により建築製図の授業に関しては課題を自宅で行うというほぼ独学の状態なわけでありますが、この数ヶ月の間での製図課題を見直しながら、改めて自分の成長と今後の個人的課題について考えて行きたいと思います。
建築製図の練習は、とにかくまず水平、垂直の真っ直ぐな線を、太い、細いを使い分けて描くことから始まりました。私の場合基本的に0.5mmの製図用シャーペン(Pentel・GRAPHGEAR500)を使用していますが、太線、細線の使い分けはこの1本のシャーペンを傾ける角度で行なっています。
ただ真っ直ぐの線を引くーこれがどんなに難しいことか。
まっすぐ引いているつもりでも、方眼を描くと正方形でない四角がある。つまり「まっすぐ」引けていない証拠だ。
さらに2mm間隔の太線の中心に細線の1点鎖線を描く、高さを揃えて文字を書くなど、製図の基本を何度も練習。これができないと今後複雑な図面なんて描けるはずがない。
線の練習の次は簡単な図形の練習。アイソメ図とそのアイソメ図の立面図、断面図を描く練習をしました。「ここで切断したらどんな図形が見えるか」とか考えながら描くのは好き。子供の頃からこういうの描くのは好きだったので楽しい。しかも平行定規使って本格的に描いていることがまた楽しい。
次に練習したのが建具の練習。建具とはドアとか窓とか開口部に付いてるやつのことで、いろいろな種類の建具を描いていく。同時に「1/100」というスケール感を掴んでいく。壁の厚さはこれくらいで描くんだー、とか、ドアだけでもこれくらいの大きさで描くんだー、とか。
そして、いよいよ住宅の製図が始まりました。まずは木造平屋建ての住宅を描いていくことになります。基本的な図面として最初に練習したのが平面図。建物を水平に切断して真上から見たやつのことです。前回練習した建具をフル活用して描いていく。…けど何度も描いた後に間違いに気がついて描き直しの繰り返しでした。
平面図の次は断面図の練習。先に描いた平面図をある線で切断して真横から見たらどう見えるか?を描くもの。2Dの世界から3Dの世界へようこそ。建築物は当たり前だけど立体なわけだから、常に考えておかなければならないのは「幅」、「奥行き」に加えて「高さ」になります。
ちなみに、切断した断面になる線は太線、そうでない奥にある線(見えがかり、って言う)は細線で描く決まりがある。これが上手にできると、ものすごく図が引き締まって見える感じ。
断面図に引き続き立面図。これは建物を外から見た時の図。この図を書く時も線の太い細いを使い分けることでよりリアリティーな仕上がりになる。1/50スケールなので細かくなったとは言えまだまだ描きやすい…のか?
そして次は、矩計図(かなばかりず)の作成。矩計図は断面図のさらに細かいやつで、どんな材料を使っているのか、材料の大きさが何mmかとかの詳細も書き込むやつ。スケールは1/20になるが描き込むものが細かいので大変。だけど、これを自ら描くことで木造建築物がどのように作られているのかを理解することができたのもまた事実。
ここにきて、製図の実力確認テストということで学校で製図試験が行われた。予め配布された課題図を約3時間以内に仕上げるという試験だ。前もって課題内容が分かっているので、テスト前に自宅で何度か練習。初めは5〜6時間かかってしまったが、徐々にスピードも上がり本番は2時間半ほどで描きあげることができた。しかも図面の評定はA+をいただいた。練習の甲斐があった。
実力テストも終わり、まだまだ課題は続く。次の課題は一般図というもの。木造2階建住宅の平面図、立面図、断面図を1枚の用紙にまとめて描く。この課題では初めて外構(家の外回りのこと)についても描くことになる。これを描いたら、本格的に建築士に近づいてきた気がするが…圧倒的にスピードが遅い。1枚仕上げるのに10時間近くかかってしまった。しかしながら、これからこの図面をもっと短い時間でしかもさらに綺麗に描くことができるようになると思うと楽しみでしょうがない。
11月9日現在、また新たな製図課題が出されている。早めに取り掛からねばと思うが、昨日までの資格試験の疲れがあり先週は手が付かなかった。まぁ、今週頑張ろう。
こうして振り返ると、この8ヶ月で全くの素人だった私がこれだけの図面を描くことができるようになったことが喜ばしく感じられると同時に、これからさらに上達していけることに対する希望や、やりたいことを始めることに遅いということはない、年齢は関係ないということを改めて感じることができた。
製図は技術であるため、とにかく量を重ねれば重ねただけ上達していくと先生に言われた。人より遅れてこの世界に身を投じた自分がやることは一つ。同じ時間を過ごす間に人より多く手を動かし、考え、経験を積むこと。
自分のため、日々精進。