理学療法士が建築家を目指してみた

「理学療法士」兼「介護支援専門員」の30代後半の医療介護福祉従事者が、「建築家」を目指し一念発起。住まいや環境などについて考えたことや、自分自身の考え方などを発信していくブログにしていこうと考えています。医療介護福祉関係の方、建築関係の方問わず、様々な意見を頂ければ幸いです。また、30代後半からの転職を考えている方にも何か参考になることがあればと思います。

資格を取る⑤〜CAD利用技術者試験2次元〜

 建築図面は現在手描きではなくほぼ全てパソコンを利用して作成されているそうです。

 その図面を描くためのソフトをCAD(Computer Aided Design/Drawing)と言いますが、そのCADに関する資格もまた色々とあります。

 

 その中で私が今回資格取得のために目指したのが『CAD利用技術者試験2次元』です。

 2021年に入り、この資格を2級、1級と受験したのでそのことについて書いてみようと思います。

 

 この『CAD利用技術者試験』はまず3次元と2次元に分別されます。当然3次元の方が表現としても高度となり難しくなるのですが、私自身今まで建築と全く異なる仕事をしてきたためにパソコンで図面を引くことの基礎を身に付けるための第一歩として始めてみたいという想いから、とりあえず2次元を受けることとしました。

 受験にあたっては「独学」で臨むこととしたので、今後独学受験をされる方の何か参考になればと思います。

 

 『CAD利用技術者試験2次元』には基礎・2級・1級があり、1級はさらにトレース・建築・機械の3種に分かれています。

 基礎についてはインターネットを使用して自宅で受験可能(IBT方式)であり、その内容もパソコンの基礎知識を含め本当に基礎的な内容となっているようです。

 2級はCBT方式(Computer Based Test)であり、各地域の試験場において申し込みの下、試験会場のスケジュールにより随時受験可能となっており、内容については基礎の内容に加えてCADシステムの運用やデータ管理などに関する内容も含まれています。

 基礎及び2級試験については、受付予約のもとで随時受験可能であるため比較的受験しやすくなっているように思います。

 

 私はとりあえずまず『2次元2級』から受験することとしました。

 受験勉強に際し購入したテキストは以下の2つ↓

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2級の公式ガイドブック

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翔泳社さんのテキスト&問題集

 なぜこの2冊を選んだのか。それは、そうしている人が多いから、というのが正直なところでした。

 問題自体はこの公式ガイドブックに準拠して出題されるため、基本的にはこの公式ガイドブックを中心として勉強をすることになるのですが、いわゆる「参考書」であるため、どのようなことが問題として問われるか、についてが分かりにくく、この1冊だけでは丸暗記しなければならないのではないか?という疑問を生じながら勉強しなければならない感じはあります。最後に過去問題も付属してはいるので、出題方法はイメージできるのですが…。

 そこで問題集として翔泳社さんのテキスト&問題集を追加購入して勉強することとしました。CAD利用技術者試験対策のネット記事を色々と見てみましたが、いずれにおいてもこの2冊を推奨されている方が多いように思います。どちらか1冊だけで臨みたい、という場合には、公式ガイドブックよりは翔泳社さんのテキスト&問題集の方で勉強される方をお勧めします。

 

 勉強方法としては、まず公式ガイドブックを1周通し読みします。パソコンやインターネットなどに関する基本的なことから専門的なことなど広く浅く出てきますが、とりあえずどのような内容かを確認。次にテキスト&問題集を各章ごとに章末問題で知識をつけながら、時折公式ガイドブックで再確認しつつ問題慣れしていきます。この作業を他の資格試験同様3回通して行い、知識の定着をしていきます。

 2級の試験に関してはCADを使用した実技試験がなく知識を問う試験のみであるため、このような試験対策のみで十分合格可能であると思います。

 

 2級試験に合格したら続いて1級を受験しました。

 1級の試験は基礎及び2級試験とは異なり、年に2回、試験会場での試験となり、CADソフトを使用した実技試験を伴う受験となります。

 先述の通り、1級試験には3種がありますが、私が選んだのは「建築」の試験です。

 

 試験勉強にあたって購入したテキストはこれ↓

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1級の公式ガイドブック

 1級試験にあたっては、公式ガイドブックのみ購入しました。そもそも公式ガイドブック以外に参考書があるのか?(あるのだと思いますが)。

 1級試験は実技試験があり、筆記試験と実技試験の割合は筆記25%、実技75%と、実技試験がどれだけできるかが合格の鍵となります。

 

 そのため試験勉強として、まず筆記試験対策は、テキストに一通り目を通して付属の過去問を解く、を3回通すことをしました。テキストのページ数は多いですが、重要な部分はある程度限定されていますし、過去問を見ながら要点を絞って読み込んでいけばそこまで分量も多くないため、多くの時間を筆記試験対策に費やす必要はないかと思います。

 

 問題は実技試験をどう乗り切るか、にかかっていると思います。

 推奨されているCADソフトはオートデスク社の『AutoCAD』ですが、私が使用したのはネットで無料配布されている『JW_cad for Windows』です。

 

 80分という短い時間の中で筆記問題と実技問題を回答していかなければならないため、いかに早く正確に図面を仕上げていくかが勝負の分かれ目になると思います。この80分という時間設定、本当に短い。

 与えられた数枚の図面から必要な情報を見つけ出し、要求された図面を描いていくために、本試験対策とした自分なりの「作図順序」を確定しておく必要があります。

 

 実技試験受験のために試験日の前に公式ホームページから解答枠のダウンロードが必要なのですが、この解答枠を見ることで木造なのかRC造なのかが分かります。さらには解答枠にすでに表示されている建具や設備機器などの供給部品から、大まかな内容も想像できると思います。(キッチン設備があれば台所、玄関収納があれば玄関をそれぞれ含む断面の作図があるだろうなー、といった感じ)

 あとは、木造あるいはRC造の過去問をダウンロードし、筆記試験の大まかな時間を除いた約60分でできるだけ多くの線を引く練習を繰り返すのみです。私も試験前の2週間は毎日1時間1問、できるときは2時間2問、ひたすら過去問を使って図面を描く練習をしました。

 描く内容は異なれど、出題内容はほぼ一緒(棚の作図、部屋の展開図、建物の断面図の3問)なので、時間配分とそれぞれの問題に対する描き順、描き方を定着していけば確実に描く速度は早くなっていきます。こればかりは、本当に数をこなしていくしかないと思います。

 

 そして試験本番。緊張で手が震える中、あっという間に80分は過ぎていきました。

 6月中旬に受験して、結果発表は8月の中旬にあり、無事合格。

 2021年前期の1級建築は合格率15%ととても低く、合格者は全国で6名。うち男性は私一人という結果でした。

 今回の試験は過去問と比較しても難易度が高かったと思います。特に実技試験ではインナーガレージとスキップフロアを含み、床レベルの異なる部屋を作図しなければならなかったため途中で高さ関係が混乱してしまいやすかったのではないでしょうか。(少なくとも先述の通り供給部品からインナーガレージについては予測できていたが、スキップフロアを含む断面になることは全く予測できていなかった)

 

 例年になく難しい試験ではありましたが、普段CADとは無縁の仕事をしており、全くの独学で臨んだ私でも勉強方法を工夫することで合格することができました。

 興味のある方、受験を考えている方の参考になればと思います。