理学療法士が建築家を目指してみた

「理学療法士」兼「介護支援専門員」の30代後半の医療介護福祉従事者が、「建築家」を目指し一念発起。住まいや環境などについて考えたことや、自分自身の考え方などを発信していくブログにしていこうと考えています。医療介護福祉関係の方、建築関係の方問わず、様々な意見を頂ければ幸いです。また、30代後半からの転職を考えている方にも何か参考になることがあればと思います。

社会人が再び学校に通うことについて〜リカレント教育を体験して〜

 2022年2月5日現在、世間はコロナウィルスのオミクロン株が猛威を奮っており、私の住んでいる大阪でも日々1万人以上の感染者が出ている状態です。早く終息することを願いますが、果たしていつになるのか、終息することがあるのか…そんなことを思いながら病院勤務を続ける毎日を過ごしています。

 

 さて、このコロナ禍の続く2年間ですが、私自身としては理学療法士から建築士への転職のために専門学校の夜間部に通っていました。昼は病院で働きながら、夜は学校の授業を受ける、そういう生活です。2022年の1月末で学校の全課程が修了し、あとは成績発表と卒業式を待つのみとなりました。

 この2年間、コロナ禍の影響もありオンライン授業の導入など入学前に想定していた生活とはだいぶ違ったものとなったのですが、自分なりに成果のあった2年間であったと感じています。

 そこで今回は、今回のリカレント教育を体験した後の感想というか思うことを書いてみようと思います。

 ↓入学前に書いたリカレントについての思いはこちら。

ms-trss.hatenablog.com

 

 社会人が再び学校に通う、ということはいわゆる「生涯学習」の一つであり、より高度な知識や技術を身につけたり、教養を深めるために行われています。通信教育や自己学習なども生涯学習の手段としてありますが、一度社会へ出た人が改めて大学や専門学校など教育機関へ通学して学ぶということは、一般的にハードルが高いことのように認識されていると感じます。

 実際、フルタイムで仕事をしながらさらにそれ以外の時間で学校で学ぶということは、普通に考えて身体的にも精神的にも大変なことではあります。当然、入学金や授業料、参考書などの購入費等々も決して安いものではないため、「ちょっとやってみようかな」くらいの気持ちで始めることができないこともハードルを高くしている要因であるとは思います。

 それだけの苦労と支出をすることによってその見返りが確約されているものであれば、自己投資として努力するきっかけも生まれるのかもしれませんが、実際問題としてそれだけの投資を行なっても学位取得や資格取得などによって給料が何倍にも跳ね上がるようなことはほぼないため、よっぽど「意識が高い人」や「目的のある人」でないとリカレント教育に手を出すことはないような雰囲気があるのかもしれません。

 

 そのような現実がある中で、実際にリカレント教育を受けた一人の人間としての率直な感想を述べさせてもらうなら、

 「やりたいと思うなら迷わずやってみた方がいい」

ということです。自己啓発関係の方々からよく聞かれそうなワードではありますが、意識が高いとかそういうことではなく、本当に心から感じることです。こういう話になると「それが簡単にできたら迷いもしないし苦労もしねーよ!」って思われる方が多いかもしれませんが。

 ただ、少しでもリカレント教育や転職などに興味を持ち、今手元にあるデバイスでそれらについて調べているのであれば、きっと今の仕事や今の生き方について何処か気になっているところがあるのではないかと思います。今の仕事や生活に不満があるとか納得していないとかそういうことではなく、何か違うことをやってみたい、より高度な知識や技術を習得したい、そういった気持ちがあってのことかもしれません。とにかく、やってみたいことがあるのであれば、やってみる方向にアクションを起こしていくことが大事なのではないかと思います。

 アクションを起こすことで、次第にやるべきことや必要なことなどが明確になってきます。そこで大体感じることは、案外いけそうな気がする、ということです。リカレント教育に対して高いハードルを備え付けていたのは自分自身の心であり、進み始めてみたらどうにかなることがほとんどのように思います。

 

 私のような全くの他業種への転職になると、次に言われることが転職後の給与や生活のことです。学校の先生からも「給料のこととか考えたら理学療法士の仕事を続けた方が…」と言われていましたが、現在に至るまでに今の仕事で築き上げてきたものがある人ほど、新しい分野への挑戦に伴って、給料や社会的地位が落ちることを指摘されることが多いかと思います。

 以前も他の記事で書きましたが、日本においては長く一つのことに取り組まれることが高く評価される傾向があります。現在はだいぶ変わってきている企業も増えているようですが終身雇用制度を引きずった長期雇用の慣習は今でもなお「長い間一つのことに取り組む」ことをある意味で美化する傾向が社会として持ち続けているように感じます。先述の通りリカレント教育を受けることで所得が何倍にもならないことも、それを端的に示しているのではないでしょうか。

 もちろん一つの分野で努力を重ねることも重要であり、生涯をかけてそのような努力を重ねるということも大変素晴らしいことであると思います。ただ、それだけが全てではない、ということなんです。そのように一つのことを生涯続けて大きな結果を残す人もまた一握りの存在な訳で。

 働く人たちがもっと積極的に新しいことを学び多くのことに挑戦することが選択肢として「当たり前」になれば、違った社会になりそうな気がします。

 私は「医療介護福祉」と「建築」の組み合わせですが、その人の人生と経験の数だけ業種の組み合わせがあり、それらの組み合わせから革新的なものが新たに生まれる可能性は無限大だと思うのです。

 

 少し話が飛躍してしまいましたが、社会人が再び学校に通うことは、何も特別なことではないと思っています。厚生労働省による職業訓練給付金制度など経済的支援もあり、今後リカレント教育はもっとスタンダードになっていくものだと思っています。

 働く人たちが毎日同じように職場へ向かい、同じように仕事をして、同じように帰宅し、束の間の休日を過ごし、また同じことを繰り返す1週間が始まる。そのような働き方を続けるよりも、新しい事を学び、あるいは今の仕事と自分の新たに興味を持ったことを掛け合わせてより生産性を高めていくーそんな自己投資をする生き方にシフトする方が良いかと。

 

 ちなみに現在のコロナ禍により、多くの場合オンライン授業が採用されていると思います。

 これについては「同じ授業料を払っているのに対面の授業を行わないのは〜」という意見が出たりとネガティブな意見もよく聞かれますが、私自身は、対面授業がないのであればその通学にかかる浮いた時間を使って資格の勉強や自己学習をするいい機会になるのではないかと考えます。

 大学や専門学校に通うのは基本的に20歳前後以上の「いい大人」です。学校から授業をしてもらえなければ勉強できない、学校に行かなければ授業料に見合った教育を受けられない…義務教育ではない教育機関に通い、そんな意見をするのはどうなんだろう、と思ってしまいます。デジタルの発達した現代においては学び方の手段も多くあるし、教育機関の活用方法も考えればいくらでもあります。学校側の対応があまりにもひどい場合は別ですが。

 脱線しましたが、オンライン授業が採用されている、ということはある意味でリカレント教育がもっと身近で手軽に受けられる機会になっているのではないかと考えます。毎日学校への通学をしなくて良い、というだけでも社会人学生にとってはかなり身体的ストレス軽減になっていることは間違いないので。今回のオンライン授業導入によって、今までの教育方法を見直し、オンライン授業の常時導入を検討している学校もあるそうです。

 そのような意味でも、コロナ禍である今この時がリカレント教育に手を出してみるいい機会なのかもしれません。

 

 社会に一度出てからの学校への通学は確かに大変なこともありますが、それ以上のものを手に入れることができる機会になります。

 迷われているのであれば、是非、躊躇いを捨ててその一歩を踏み出してみてください。