転職 と 現実(1・生活とお金のこと)
今回「建築家」への転職を目指すにあたって必要になることは学校に通うことでした。
建築士の受験資格としては、学校に通わずに得られる方法もありますが7年の実務経験が必要になります。それはちょっと難しい、ということで可能な限り最短年数で資格が取れるよう学校に行くことにしたのですが、この時にも色々と選択肢が出てきたのです。
・大学 か 専門学校 か
・昼間 か 夜間 か
・私にとっての 最適 は?
どの様にして決めたのかを書いていこうと思います。
1.大学 か 専門学校 か
「建築家を目指そう!」と思い、まず最初に考えたのは大学に再入学することでした。
私自身かつて鹿児島大学を卒業しており、自宅から通うことができることや、「大卒」となることでのメリットを加味しても同大学の建築学科に再入学または編入学ができればと考えたのです。
そうなった場合、経済的な面で考えるとどうなるか。国公立大学なので比較的安いと言えば安い方なのですが、3年生から編入学して2年間で卒業したとして、入学金と授業料、その他テキスト代などを含めても150万円程。独立生計学生として授業料免除を申請したとしても、確実に免除される保証はないという状態なので、満額かかるつもりでいないといけません。再入学して4年間かかるとすればさらに100万円以上かかります。
一方、専門学校は2年間で費用はおおよそ100~150万円。学費としてはほとんど変わらないのかな?という印象でした。専門学校によっては公的な給付金制度である「専門実践教育訓練給付金」の対象校があり、学費の50~70%が給付されることもあります。建築士に関しては2019年現在で全国で4校が指定を受けており、鹿児島から一番近いところは大阪の専門学校でした。
大学か専門学校か。学費的な面がそこまで変わらないのであれば、大学を出た方がいいのか。しかし、40歳で資格を取得し、20代の新卒の人たちと何で勝負していくかを考えた時に、「大卒」というものがどこまで意味を持つものなのか?ということがあります。同じ20代新卒であれば、大卒か専門学校卒なのかは一つの勝負どころになるかもしれません。しかし私の場合はそうではありません。このことについてはまた機会がある時に別で記事にします。
金銭的な面でほとんど変わりがないとするならば、自宅から通うことができる大学への編入学が良いのだろうと考えました。
2.昼間 か 夜間 か
学校へ通うからと言って収入が0になるわけにはいかず、並行して何かしらの労働は必要になります。
大学に編入学するとなれば、今度は昼間学校に行くことになるため夜間アルバイトを行う必要があります。鹿児島で夜間のアルバイトとなれば、好条件のバイトでも頑張って月に10万円そこそこでしょうか。
夜間の専門学校に通うとすればどうでしょう。理学療法士として日中に正社員で労働を行い、業務終了後に学校に通うことができれば、月々の給与に加え賞与を含めた現在同様の安定した収入を得たまま学校に通うことができます。
大学は先述の通り鹿児島大学に行くと仮定すれば自宅から通うことができますが、専門学校で夜間の学科がある学校となると限定されてしまい、県外の学校に行かなくてはならず転居する必要が出てきます。そうなると転居後の生活のための費用がいくらかかるか…ということも考えなければならなくなってくるのです。
家庭でのことと言えば家事育児を協力することなのですが、昼間学校に通い夜間仕事をしても、昼間仕事をして夜間学校に通っても、どちらであっても今までのようにはできません。夜間専門学校に通うために転居するとしても、家族とともに転居するのか、私が単身で転居するのか、それによっても経済的な負担や生活面の負担は大きく変わってきます。
それらのことを総括し、妻に建築家への転職を話するまでに私の中で考えた結論は
「大学に編入学し授業料免除の申請を行う。昼間学校、夜間にアルバイトをして可能な限り経済的負担を軽減しつつ、必要に応じて奨学金の申請も行う」
ということでした。
3.「私」にとっての最適は?
さあ、それで妻に話をしたわけですが、やはり一番のポイントは在学中の収入の面になるわけです。
私自身が鹿児島大学への編入学を希望した理由の一つに、「家族と離れたくない」という気持ちがあったことは確かです。夜間の専門学校に通うために転居、ということになる場合、築3年のまだ新築の家を空けて、あるいは人に貸して、家族みんなで引っ越そう!という話にはならないことは分かっていました。
「専門学校に行くなら単身で」
心の中でそれだけは避けたいという気持ちがあったので、大学へ行くことを必死でアピール説明しました。
しかし、妻としてはやはりアルバイトの収入だけでは不安があることと、授業料免除が確実でない中で奨学金を借りて借金を増やしたくはないということを言われました。
冷静に現実を見た場合、確かにその通りなのです。
家を建てたことによる借金がある中で奨学金の返済が重なると、家計の負担はさらに大きくなります。その上私がアルバイト収入となると、生活の基盤そのものが不安定になる可能性は非常に高くなります。
そのため、現実的な方針として、
・日中は正社員として仕事をして安定した収入を得つつ、夜間の専門学校に通う。
・専門学校は「専門実践教育訓練給付金」の対象校に通い、できるだけ就学にかかる金銭的負担を軽減する。
・単身の生活になるが、健康維持に留意して可能な限り質素な生活を営む。
が打ち出されることになったのです。
妻や子供と離れ同じ時間を過ごすことができないことは非常に辛いことではありますが、それを犠牲にしてでも得られるものの大きさを考えると、やむを得ないと考えることにしました。むしろ、大きなものを得られるように自分自身が努力をしなければならない、大きなものを得なければならないのです。
ということで、協議の結果私においては、
「単身、大阪の専門学校に行く」
これが最適な方法であるという結論に至ったのでした。